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特集3 海上保安庁で働く「人」
船艇で活躍する!(大型巡視船の一例)
海上保安官には、巡視船艇等での海上における勤務だけでなく、本庁や管区本部等での陸上における勤務や海外における勤務等、さまざまな活躍の場があります。このように、さまざまな舞台で活躍する海上保安官には、幅広い知識や技能だけでなく、特殊な業務を行なうための専門的な能力も求められます。
ここでは、海上保安官の活躍の場の一例とその海上保安官を養成するための教育機関である海上保安大学校や海上保安学校等を紹介することで、「海上保安官」の仕事の魅力についてお伝えします。
■船 長
船舶運航の全般を統括し、指揮監督する最高責任者です。
■業務管理官
業務計画等を企画立案し、船長を補佐する業務監督責任者です。
■航海科職員(航海長、首席航海士、主任航海士、航海士、航海士補)
操船、見張り、航海計画の立案、船体の手入れ等を担当します。
操舵室
■通信科職員(通信長、首席通信士、主任通信士、通信士、通信士補)
一般船舶や他の巡視船艇との通信や通信機器の整備等を担当します。
通信室
■運用司令科職員(運用司令長、首席運用司令士、主任運用司令士、運用司令士、運用司令士補)
情報の収集・分析、対処方針の立案・調整を担当します。
OIC区画
■主計科職員(主計長、首席主計士、主任主計士、主計士、主計士補)
庶務や経理、物品等の管理、調理、看護等を担当します。
調理室
■機関科職員(機関長、首席機関士、主任機関士、機関士、機関士補)
エンジンの運転や整備、燃料油の管理等を担当します。
機関室
陸上で活躍する!
■総務業務
政策の企画・立案、広報、職員の人事及び福利厚生等を行います。
■経理補給業務
予算の執行、施設や物品等の管理を行います。
■装備技術業務
船舶・航空機の建造・修理に関する業務のほか、各種装備に関する技術の検討等を行います。
■情報通信業務
情報通信システムの整備、管理や情報管理に関する業務を行います。
■警備救難業務
海上犯罪の捜査、海難救助及び領海警備等に関する業務や巡視船艇・航空機の運用調整を行います。
■海洋情報業務
海洋調査による海洋情報の収集、収集した情報の提供、海図の作製等、海洋情報に関する業務を行います。
■海上交通業務
海上交通ルールの設定や航路標識の管理、海難の調査等、海上交通の安全に関する業務を行います。
航空機で活躍する!
ヘリコプター搭載型巡視船
■航空科職員(航空長、首席飛行士、主任飛行士、飛行士、飛行士補、首席整備士、主任整備士、整備士、整備士補、首席航空通信士、主任航空通信士、航空通信士、航空通信士補)
飛行甲板
航空基地
■飛行科職員(飛行長、上席飛行士、主任飛行士、飛行士、飛行員)
パイロットとして運航を担当します。また、機長として、その機体の運航・業務を統括します。
■整備科職員(整備長、上席整備士、主任整備士、整備士、整備員)
航空機の機体整備や燃料油の管理等を担当します。フライトの際には航空機に搭乗し、機体の管理を行います。
■通信科職員(通信長、上席通信士、主任通信士、通信士、通信員、主任探索レーダー士、探索レーダー士、探索レーダー員)
通信機器の操作や整備を担当します。
航空機、航空基地、巡視船等との通信を行います。
船艇の1日
船艇における勤務体系は日帰り〜2週間程度と船の大きさにより異なりますが、ここでは、一例を紹介します。
巡視船艇乗組員の1日 広大な海域の安全・治安を確保する
船での仕事とは?
巡視船や巡視艇は海の警察、消防の役割を担います。陸上の仕事との違いは、船乗りの要素である、「船務」も担うことです。巡視船や巡視艇に乗組む職員は、船を安全に運航しつつ、犯罪捜査や海難救助等の「業務」に当たります。例えば操船と犯罪捜査、船のエンジン整備と海難救助のようなイメージです。つまり、海上保安官は船乗りでもあり、警察官、消防士でもあるということになります。
巡視艇や小型の巡視船は、湾内や沿岸等、身近な海域を活動範囲とし、日帰りや数日間の洋上しょう戒(海域のパトロール)の他、海上犯罪捜査や海難救助などの突発事案にその機動力を活かし迅速に対応します。
大型の巡視船は、より広い海域を担い、日帰り〜2週間程度、洋上で過ごすこともあります。領海警備や沖合海域のしょう戒を担いつつ、陸から遠く離れた船舶からのSOSに対しても、船の航続距離を活かし対応します。
24時間体制でしょう戒等を行うため、乗組員は交代で船務にあたります。基本的には0〜4時と12〜16時勤務、4〜8時と16〜20時勤務、8〜12時と20〜24時勤務の三交代制です。ここでは、三直当直の一例を紹介します。
※場合によっては超過勤務として働くことがあります。
海上交通センターの1日
運用管制官の勤務体系は、日勤当直と夜勤当直の交代制勤務です。各海域において、航行船舶等の特色はありますが、ここでは一例を紹介します。
運用管制官の1日 船舶の往来が激しい海域の安全な航行を支援する
運用管制官の仕事とは?
東京湾や伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海の船が多く通航する海域に設置された海上交通センターにおいて、運用管制官は、24時間365日、レーダー等を使い、船の動きを把握し、船の安全運航に必要な情報の提供や、交通の整理等の業務を行っています。
海上保安庁のスペシャリスト集団
携行武器指導官 |
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携行武器の使用・知識・判断能力等の 指導を行います。 |
救難系・防災系
国際緊急援助隊 |
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海外で大規模な災害が発生した場合、 被災国政府等の要請に応じ、 救助や災害復旧等を行います。 提供:JICA |
整備系
航行援助管理官 |
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灯台や灯浮標等の航路標識の機能を 維持するため、定期的に点検を行っているほか、 航路標識に故障等が発生した場合には、 迅速に復旧作業を実施しています。 |
海洋調査系
国際系
捜査系
システム系
サイバーセキュリティ対策官 |
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外部からのサイバー攻撃から海上保安業務を 支える基幹システム等を守っています。 |
情報処理官 |
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海上保安業務を支える基幹システム等の 維持管理のため、運用状況を常時監視し、 障害発生時には、復旧を行います。 |
管制
海上交通センター運用管制官 |
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海上交通の安全を図るため、船舶の 安全運航に必要な情報の提供と航行 管制を行います。 |
音楽
音楽隊 |
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音楽を通じて、広報活動の効果を 高めるとともに、当庁職員の 士気の高揚を図ります。 |
教育
教育機関教官 |
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海上保安大学校等の 教育機関において、学生に対し 高度かつ専門的な教育を行います。 |
他機関への出向
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国土交通省や都道府県警察等、 他機関で活躍します。 出向機関:JAXA |
活躍の場は無限大 さまざまな現場で活躍する海上保安官
特殊海難に対応する海難救助のスペシャリスト 特殊救難隊
特殊救難隊は、転覆船や沈没船内からの人命の救出、ヘリコプターからの降下・吊上げ救助等、高度で専門的な知識技能を必要とする「特殊海難」に対応することを任務としているほか、「救急救命士」を配置し、海難等により生じた傷病者に対し、容態に応じた適切な救急救命処置を行うなど、海上保安庁における救助・救急を担っています。
特殊救難隊
Q 仕事のやりがい、苦労したことは?
A 特殊救難隊は多種多様な事案に対応するため、さまざまな救助技術を有しており、転覆船等からの人命救助や、救急救命士の資格を活かした救急救命処置など多岐にわたります。また、海外で地震などの災害が発生した際には国際緊急援助隊として現地に派遣されるなど、厳しい訓練で培った多くの技術を活かせることにやりがいを感じます。
Q 仕事を行ううえで大切にしていることは?
A 隊長になり、隊員の能力とコンディションの把握を心掛けるようになりました。危険な海難現場において、要救助者の命を救うための救助手法を考えていくことは当然のことですが、どのように隊員の能力を発揮させてチームをまとめていくのかが、隊長に求められる能力だと感じます。
海上保安庁の船艇の建造・維持を一手に担う 船舶工務官
船舶工務官は、新たに建造される海上保安庁の船艇や搭載される各種機器等の検査・監督に携わり、就役以降は各現場で活躍する船艇の性能・機能の維持・管理や、乗員への整備指導を行うことで、海上保安業務の遂行に必要不可欠な船艇の運航に支障を来すことが無いよう、技術的な支援を行います。
船舶工務官
Q 仕事のやりがい、苦労したことは?
A 船舶工務官の仕事は目立ちませんが、自分の判断により巡視船艇で発生した故障を復旧に導くことができる非常にやりがいのある仕事です。
故障の中でも復旧と発生を繰り返す不具合は、原因追求に苦労します。結局は配線が外れかかっていただけということもありますが、取扱説明書を片手に一つずつ確認し、原因が判明したときの達成感はひとしおです。
Q 仕事を行う上で大切にしていることは?
A 私は変なところで考え込む癖がありますので、分からないことは一人で抱え込まず、まわりの方に相談するようにしています。
幸運なことに私の周りには経験豊富な優しい方がたくさんおりますので、色々なことを勉強させていただいております。
Q 今後の目標、目指す海上保安官像は?
A 「スマートで目先がきいて几帳面、負けじ魂これぞ船乗り」という言葉がありますが、日本の海を守る海上保安官として海上において発生する千差万別のトラブルを今までの経験を活かしスマートに解決する海上保安官を目指しております。
科学の力で海保の現場、海上犯罪の解明を支える 試験研究官
海上保安業務に使用する資機材や海上犯罪の科学捜査に関する試験・研究、海洋汚染の原因となる物質の分析・鑑定などを行うほか、AR/VR技術の応用による業務効率化など、最新技術を活用し、海上保安庁の現場を支えています。
試験研究官
Q 現在の職(業務)を希望した理由は?
A 現場で採取された様々な資料を分析・鑑定するプロセスに自ら関わり、科学の知識を海上犯罪捜査や海洋汚染の防止に役立てたかったためです。
Q 仕事のやりがい、苦労したことは?
A 試験研究官は、日々、現場からの要請をもとに化学、薬学、電気、電子、情報など様々な理科系の知識を活かしながら試験・研究・分析・鑑定の各業務に果敢に対応しています。
各種の高度な機器類を使いこなし、結果を導き出すまでには、専門的な知識の習得や多くの経験を重ねなければならず苦労は絶えませんが、現場から感謝の声が届いたときに感じるやりがいは格別です。
Q 海上保安官を目指す方へ一言
A 試験研究官という職名を聴き、自分にはとても無理だと感じられる方も多いかも知れません。しかし、誰もがはじめは未経験者です。工学や化学への関心と興味があれば大丈夫、各種の研修や先輩職員からの助言と指導を通じて必ず活躍できます。
業務もフィールドも選ばない頼れるメカニック 航空整備士
航空機の整備を担当する以外にも、フライトの際には乗組員として搭乗し、海難救助や捜索、監視取締りなどに従事する他、機体や計器に異常がないかを監視し、安全運航面でも重要な役割を担っています。また、ヘリコプターで吊上げ救助を行う際には、吊上装置の操作を担当するホイストマンになり、操縦士や特殊救難隊隊員、機動救難士と連携しながら要救助者の吊上げ救助に当たります。
航空整備士
Q 航空整備士の魅力は何ですか?
A 業務は航空機の整備にとどまりません。フライトの際には飛行機やヘリコプターに搭乗し、操縦士や通信士などと連携しながらさまざまな業務を行っています。救助活動や行方不明者の捜索、担架を用いた傷病者の搬送、犯罪捜査や監視活動、採証機材の操作などは整備士が担当します。また、航空基地に限らず、ヘリコプター搭載型巡視船に配属されることもあり、海の上でも活躍することができます。航空の専門家としてフィールドを選ばず、さまざまな業務に当たることができるのは、海上保安庁の航空整備士ならではの魅力です。
Q 航空整備士として印象的な事案はありますか?
A 九州地方での豪雨災害において孤立者救助や被害調査に対応した事案です。普段活動している海とは異なる陸上での活動でとても印象に残っています。ヘリコプターの強みを活かし、発災直後から救助活動に取り組みました。
海保の知識技術普及の架け橋 派遣協力官
派遣協力官は、東南アジアをはじめとする外国海上保安機関に対して、犯人を制圧する技術、油が海上に流出したときの対処法など海上保安業務に関する研修や訓練を行っています。外国海上保安機関の能力向上を支援することで、日本の海上輸送の安全確保に努めています。
派遣協力官
Q 今回の海外派遣先は?
A アラビア語で「涙の門」と呼ばれ、日本関係船舶も多く通航しているアフリカ大陸とアラビア半島に囲まれた紅海とアデン湾を分けるバブ・エル・マンデブ海峡をその領海に含んでいる国「ジブチ共和国」。この国の海の安全を守っているのがジブチ沿岸警備隊(DCG)です。モバイルコーポレーションチーム(MCT)に所属する派遣協力官は、DCGの法執行にかかる能力向上支援にあたっています。
Q 仕事のやりがいは?
A 日本から9,000kmも離れた国の沿岸警備隊を支援していることに疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、DCGの能力向上は地域の海の安全につながり、その海を日本に関係する船舶が通り、衣食住に必要な物やその原料を日本に運び、そして日本で原料を加工した製品を再び世界へ運んでいく。一見、私たちと全く関係のないようにも思える外国の海上保安機関を支援することが、日本の日常生活を支えていると思うと、とてもやりがいを感じます。
Q 海上保安庁を目指す方へ一言
A 「海猿」や「船」といったイメージが強い海上保安庁ですが、日本から遠く離れた外国で働くこともあります。世界地図を眺めた時に思い出していただけたら嬉しいです。
海洋調査のスペシャリスト 測量船観測士
測量船観測士は、海底地形の測量、海流や潮流の観測、海洋汚染等の海洋調査を実施するため、高度な専門知識・技術を用いて自律型潜水調査機器(AUV)やマルチビーム音響測深器をはじめとする特殊な海洋観測機器の運用のほか、機器のメンテナンスも行う海洋調査のスペシャリストです。
測量船観測士
Q 現在の業務の魅力は?
A 私は船舶の航行安全及び日本の海洋権益の確保に貢献する海洋調査に従事しています。「海」の科学的な解明と国益を守る重要な任務にやりがいを感じています。
Q 印象に残っているエピソードは?
A 新造の測量船「光洋」の就役に立ち会ったことです。本船に搭載された最新の観測機器の運用方法を習得したり、観測のためクレーン等を使用し機材を運用したりと、全てが初めての経験で非常に濃い1年でした。
Q 海上保安庁を目指す方へひとこと
A 私は大切な人達の安全な生活を守るため、海上保安官になりました。日本の海を守るプロフェッショナルとして、皆さんと業務を共にできる日を心待ちにしています。
声で守る!海とあなたの安全を!!海上交通センター 運用管制官
海の管制官は、東京湾や伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海の船舶が多く通航する海域に設置された海上交通センターにおいて、24時間365日、レーダー等を使い、船の動きを把握し、船の安全運航に必要な情報の提供や、交通の整理等の業務を行っています。
運用管制官
Q 海の管制官のやりがいは?
A 情報提供の後、操船者から直接“ありがとう”の言葉を聞けるところです!「今後もより良い情報提供を心がけよう」と、意識の向上にもつながります。
Q 海の管制官として心がけていることは?
A 操船者の視点に立ち、どのような情報が求められているのかを常に考えています。また、英語で情報提供を行う場合は、できるだけ簡単な英語を使い、操船者に分かりやすい情報提供を行うことを心がけており、英語能力の向上にも日々努めています。
Q 海の管制官を目指す方へ一言
A 海上交通センターが行う業務への期待は年々高まっており、非常にやりがいのある仕事です!!私たちと一緒に、海上交通の安全を守りませんか?
その先にある検挙・立証のために 鑑識官
鑑識官は、犯罪現場に臨場し、犯行現場の状況をありのままに観察して、科学的知識や鑑識技術を駆使して、鑑識活動を展開するほか、犯罪死の見逃しのないように、あらゆる可能性を想定し、検視業務にあたるなど、海上犯罪捜査の一翼を担っています。
鑑識官
Q 現在の職(業務)を希望した理由は?
A もともと巡視船艇に勤務し犯罪捜査に携わっていたのですが、犯罪の手掛かりを掴み、また、事件解決の決め手となる「証拠」を導き出すプロフェショナルとして活躍したいという気持ちがあり鑑識官を希望しました。
Q 仕事のやりがい、苦労したことは?
A 鑑識の現場では、写真撮影から指紋採取、検視等々、幅広くかつ高度な技術が求められ、同じ現場は二度とないことから、常に重圧を感じながら行っていますが、収集した証拠が事件解決に繋がったときの達成感は一入です。
目指せ! 海上保安官
海上保安大学校(広島県呉市)
海上保安大学校は、将来、海上保安庁の幹部となる職員として必要な高度な学術・技能を教授し、あわせて心身の練成を図ることを目的として設置された海上保安庁の教育機関です。
本科は、高校卒業程度の者が対象になる課程で、採用後は、海上保安大学校本科として4年、専攻科6ヶ月及び国際業務課程3ヶ月の計4年9ヶ月の教育を受けることになります。卒業時には日本で唯一の「学士(海上保安)」の学位が本科学生に授与されます。
令和2年度から募集が開始された初任科は、大学卒業程度の者が対象になる課程で、採用後は、初任科として1年間教育を受けたのちに、特修科に編入され、さらに1年間の教育を受けることになります。
学生は寮生活を行い、団体生活を通して生涯の友を得、相互錬磨とリーダーシップを体得していきます。卒業後は、それぞれ初級幹部職員として、日本全国の巡視船等に配属されます。その後、本庁や管区海上保安本部、巡視船等に勤務しつつ、幹部職員として経験を積んでいくことになります。
海上保安大学校は全寮制で、各学年1人ずつの4人が1部屋に入り、規律ある団体生活を送ります。学生は、この団体生活を通じて、正義仁愛の精神、リーダーシップ・チームワークの体得や気力・体力の練成を図ります。
◆カリキュラム
◆1日の日程
◆年間行事
学生の声
本科1学年 上野 愛
私は、祖父が船乗りだったため海に関わる仕事に興味を持っていました。小学生の頃に見た映画で海上保安官という職業を知り、音楽隊の定期演奏会など海上保安庁の活動を調べていくうちに海上保安官になりたいと思い入学を決意しました。
入学後は、新しい環境に慣れることに精一杯で、寮生活や訓練は想像以上に厳しいと感じました。特に遠泳訓練では、私は小学生以降泳いだことがなかったため周りとの差に戸惑いを感じましたが、同期と協力し助け合うことで完泳することができました。
1学年の乗船実習では、実際に船務を経験し、2学年における航海、機関、通信の専攻選択の参考にします。乗船実習を通じて、どの科も船では重要な役割を担っていることを学ぶことができました。これから3年間、勉学や部活動、訓練に励み、海上保安官としての素養を身に着けていきたいと思います。
本科3学年I群 加藤 啓太
私は、小学生5年生の時に起きた東日本大震災の中、懸命に人命救助を行っている潜水士の姿をニュースで目にし、海上保安庁を知りました。そこから当庁について調べていく中で、海上においてさまざまな業務に従事する海上保安官に魅力を感じ、入学を志望しました。
大学校では、全学生が船内生活を模した寮生活を送りながら、授業や訓練、乗船実習を通じてさまざまなことを学びます。初めは厳しいと感じる場面がありましたが、同期と協力し乗り越えることができました。また休日には、同期と外出したり、体を動かしたりすることで、充実した日々を過ごせています。
3学年で日本1周の乗船実習を経験し、それぞれが卒業後の進路について具体的なイメージを持つことができたと思います。目標である特殊救難隊の一員となり、現場で活躍できるよう日々精進してまいります。
初任科第1期 松田 怜
私は大学で専攻していた中国語を、国の安全の為に活かせる仕事がしたいとの思いから、尖閣諸島周辺海域における領海警備に従事している海上保安庁を志望しました。当初、海上保安学校入学を目標に公務員試験の勉強を行っていましたが、初任科が新設されることを知り、大卒者でも幹部候補生として採用されるという点に魅力を感じ、初任科を受験しました。
新しい課程の1期生として、さまざまな訓練や行事に臨む上で、困難に感じることも多々あります。しかし、その分同期同士で切磋琢磨し、また強固な団結力が得られました。
初任科の強みは、各々が大学やこれまでの社会経験で得た多様な専門的知見にあると思います。それぞれの長所を活かして現場で活躍できるよう、大学校では幹部海上保安官としての基礎をしっかりと身につけていきたいです。
◆キャリアパスモデル
- ●適性や希望に応じて、さまざまな研修を受けることで、外交官や他省庁への出向など、さまざまなキャリアアップを図っていくことができます。
※一例であり、個人の希望や適性等により異なります。
海上保安学校(京都府舞鶴市)
海上保安学校は、京都府舞鶴市にあり、海上保安庁における専門の職員を養成する教育機関です。
学生は採用試験時に、5つの課程のうち、いずれかを選択します。教育期間は船舶運航システム課程、航空課程及び海洋科学課程は1年間、情報システム課程及び管制課程は2年間で、全学生を対象にした海上保安官として必要な知識などを学ぶ共通科目に加え、各課程・コースごとの専門科目などを学びます。
卒業後は、巡視船艇の乗組員等として、日本全国に配属されます。その後は、希望と適性に応じ、潜水士や国際捜査官といった各分野のエキスパートとして進むことも可能です。また、業務経験と選抜試験により、海上保安大学校での特修科を経て、幹部へ登用される道も開かれています。
海上保安学校は全寮制で、同じ自習室・寝室で生活する「班」と、4〜5の班で「分隊」を編成しています。同じ部屋では先輩期学生と後輩期学生が、課程やコースに係わりなく一緒になって生活しており、これら学生生活を通じて、海上保安官に必要な正義仁愛の精神、規律、責任感、協調性、気力・体力の練成を図ります。
◆カリキュラム
◆1日の日程
◆年間行事
学生の声
船舶運航システム課程第59期機関コース 吉田 勇希
幼い頃から海というものが身近にあり、海の安心・安全を守る仕事がしたいと思い、当庁を志望しました。
機関コースでは、船舶を動かすのに必要なエンジンの仕組みなど機関に関する授業のほかに、警備救難業務に必要な法律などさまざまなことを学びます。また、仕事で使用する無線や小型船舶の免許も取得します。
当校での生活は、海上保安官として必要な、規律、体力、精神などが求めれます。厳しいこともありますが、当校で出会った同期、教職員の方々、そして家族の存在が支えとなり、充実した日々を送っています。
卒業後は巡視船艇の機関科職員として、活躍し、自らのスキルアップを図っていきたいです。「正義仁愛」の精神のもと、海上の安全と安心を守るため、日々成長していきたいです。
航空課程第20期 池田 彩香
私は、就職活動時に海上保安庁の航空機が離島からコロナウイルス感染症患者の搬送で活躍していたことを知りました。私も現場での救助活動に携わりたいと考え、当庁のパイロットを志望しました。
入学当初は体力面で不安がありましたが、周りの仲間と励まし合いながら日々体力錬成を行い、遠泳訓練、早朝訓練を乗り越えることができました。また、寮生活においては、航空課程以外の課程と共同生活を送ることで、さまざまな情報共有を行い、人間としても海上保安官としても成長することができていることを実感しています。
卒業後は、航空機の操縦士となるための訓練が始まります。驕ることなく、素直な姿勢で仲間と助け合いながら精進していきたいです。
管制課程第3期 中野 翔太
平成30年、台風21号で私は初めて災害に遭遇しました。中でも強風により関空連絡橋と船が衝突するという大きな事故があり、報道を調べるうちに海上交通センターという港で船舶事故が起きないよう働く方々がいることを知りました。そして彼らが「海の管制官」と呼ばれていること、「海の管制官」になるためには、海上保安学校の管制課程に入学しなければならないことを知り入学しました。
一部屋に最大12人という寮生活、行軍や遠泳といった厳しい訓練にはじめはついていけるか不安でした。海上保安庁といえば「海猿」や、尖閣諸島での領海警備など体を張った業務を主に行っているイメージもあり運動の苦手な私には向いてないのではないかと心配もありました。しかし同期の仲間の助けや教官方のご支援により寮生活も厳しい訓練も乗り越えることができました。
管制課程の特色として外国船舶に対して通信を行うため英語能力向上のための授業が多く組まれています。管制課程を卒業すると全国7か所の海上交通センターに配属となり、運用管制官となります。海上保安学校で培った英語を駆使して日本船舶だけでなく、外国船舶に対しても的確な情報提供ができるよう日々精進していきたいと思います。
◆キャリアパスモデル
- ●適性や希望に応じて、さまざまな研修を受けることで、外交官や他省庁への出向など、さまざまなキャリアアップを図っていくことができます。
※一例であり、個人の希望や適性等により異なります。
海上保安学校門司分校(福岡県北九州市)
海上保安庁では、船舶、航空機や無線通信の有資格者を対象に門司分校での採用を行っています。
門司分校では、採用された者に対して、約6ヶ月間、海上保安官として必要な知識、技能及び体力を練成するための初任者研修を行っています。また、現場の職員に対して資質と能力の向上を図るための業務研修も行っています。
学生の声
船艇職員等初任者課程第86期 金本 千枝
玄界灘に面した福岡県で生まれ育った私は、幼い頃から海で遊んだりしていたことから、将来は海上を職場とする航海士になりたいと思うようになりました。そして水産系大学を卒業後、内航商船の航海士として、主に太平洋沿岸及び瀬戸内海を航海してきました。
そこで私は、「海上の安全は海上保安官によって守られている」ということを強く実感しました。海上保安官の業務は多岐に渡りますが、どの業務も海上の安全には欠かせません。商船の航海士として、いつしか、「今度は自分がこの大好きな海の安全を守りたい」と思うようになり入庁を決意しました。
この門司分校には、研修生として様々な職歴、年齢層の人達がいますが、お互いに励み、助け合い、日々の研修生活を送っています。経験豊富な教官方から、できるだけ多くを吸収し、即戦力となれるよう自己研鑽に努めたいと思います。
海上保安学校宮城分校(宮城県岩沼市)
海上保安学校宮城分校は、海上保安庁の航空要員を養成するための教育機関です。
海上保安学校航空課程卒業者は、ヘリコプターの操縦資格を取得するほか、北九州航空研修センター(北九州空港内)において飛行機操縦資格を取得しています。
また、現場で活躍している航空機職員(飛行士、整備士、航空通信士)に、それぞれの業務に必要な資格、特殊技能(吊上げ救助等)や航空機運航に関する安全対策知識を習得させています。
学生の声
海上保安学校宮城分校回転翼基礎課程第55期 宮本 健成
私は小学生の頃からパイロットになることが夢でした。大学生の頃、職業見学の一環で海上保安庁の航空基地を見学した際に当庁のパイロットのカッコよさに憧れたのが入庁の動機です。
海上保安学校宮城分校では、ヘリコプターの操縦に関する教育環境がとても充実しています。ヘリコプターを運航するために習得しなければならない事はとても多いですが、その先にある当庁の業務を通して人の役に立つ機長になるという目標を胸に日々訓練しています。
宮城分校での研修終了後は、全国にある航空基地に配属され現場で活躍する先輩達と共にさらに操縦技術と知識を磨いていきます。
海上保安庁のパイロットは、人命救助や取締りなど幅広い業務に関わることができます。魅力を感じた人はぜひ挑戦してみてください。
国家公務員総合職採用(技術系)
海上保安庁海洋情報部・交通部では、国家公務員総合職技術系職員を採用しています。総合職技術系職員は、政策の企画立案、技術開発・研究等の経験を積み、将来的には幹部職員として海上保安行政に携わります。
採用当初は、海洋情報部内の技術系の部署に配属され、海洋調査や観測技術、海洋情報の収集・管理・提供等に関する実務や研究に携わります。その後は、海上保安庁内や他省庁において政策の企画・立案等の経験を積んだ後、将来的には海洋情報部の幹部として組織のマネジメントに携わります。他省庁への出向、国際機関や大使館での在外勤務といった幅広い活躍の場があります。
最新の自律型海洋観測装置(AOV)を扱う職員
地球物理学に関する国際学会で研究発表する職員
職員の声
本庁海洋情報部技術・国際課 課長補佐 及川 光弘
海上保安庁の技術系総合職の魅力は、技術的な考え方が業務に不可欠、という点にあると感じています。私が最初に配属された部署は、国家プロジェクトの大陸棚延長のための調査を任務とし、私自身も測量船に乗り、海上での調査やデータの解析等を担当しました。
平成30年には内閣府総合海洋政策推進事務局へ出向し、海洋基本計画の改正等に取り組みました。多くの学識経験者や産業界からの意見をまとめることは困難なこともありましたが、自らの仕事が国の政策に反映されていく過程にやりがいを実感しました。
今は、海の水深を調査する際の規則の改正に取組んでいます。最新の技術を反映して、海図に求められる基準を確保しつつ、より効果的に調査を実施できるよう、さまざまな意見に耳を傾けるよう心がけています。
採用当初は、主に交通部内の海上交通に関する技術的な業務に携わります。その後、交通部以外の部署において政策の企画立案等の経験を積み、地方の管区海上保安本部等の管理職や他省庁への出向を経て、将来的には技術分野及び安全分野における幹部職員として海上保安行政に携わります。また、JICA専門家としての海外派遣や国際会議への参加など、グローバルな活躍の場があります。
JICA専門家として海上交通管制に関する技術支援を行う職員
職員の声
本庁 交通部企画課国際・技術開発室 課長補佐 鈴木 伸也
海上保安庁に入庁してさまざまな課題に取り組む中で、技術的な知識が求めれる場面が多々あります。交通部では技術系職員としてのその専門性を活かしつつ、行政的な仕事を担うことができるのが魅力の一つです。
入庁後は、情報提供システムの整備・運用や海上交通センターの強化策などに取り組みました。近年は国際的な役割を担うことも多く、JICA専門家としてインドネシア運輸省で現地職員と一緒に働き、外務省出向の機会には、新たな国際機関を設立するための条約(国際航路標識機関条約)の国会承認手続や締結手続を担い、現在は、日本とASEANの海上交通分野の技術協力等を担当しています。
海を舞台に働く技術系行政官として、技術的な知識を背景に、国内外の幅広い課題に挑戦できるのはとてもやりがいがある仕事だと感じています。
◆キャリアパスモデル
※一例であり、個人の希望や適性等により異なります。
国家公務員一般職採用
海上保安庁では、国家公務員一般職職員を採用しています。一般職職員は、本庁及び管区海上保安本部等において、海上保安行政に携わり、海上保安庁を陸上から支えています。
本庁及び管区海上保安本部等において、主に「総務・人事・福利厚生・会計部門」などの総務業務に携わります。
職員の声
本庁 総務部秘書課 共済係 赤池 桃佳
私は地方支部にあたる鹿児島市の第十管区海上保安本部に事務官として採用され、庶務や給与支給関係等の事務に携わってきましたが、現在は私の希望により東京に異動となり本庁秘書課にて勤務しています。
入庁当時は、まさか自分が霞が関で働くとは夢にも思っていませんでしたが、秘書課では共済係として、職員やその家族の病気や怪我、出産育児などを支援するため、本庁各課や各管区と事務手続きや各種調整などを行っております。
事務官の仕事は主に海上保安官のサポート役であり、間接的とはいえ、自分自身が日本の海を守ることに貢献していると実感しており、業務などで機会があれば海上保安庁の巡視船や航空機に乗ることもあり貴重な経験をしています。また、忙しい時期もありますがそうでない時には定時に帰れるので、東京観光や自分の趣味の時間を持つことができるなど、メリハリある生活が送れています。
皆さんも、24時間現場で活躍する海上保安官を支える、そんな仕事を目指してみませんか!
- ●人事院実施の総合職及び一般職試験の合格者を対象に官庁訪問等の面談を実施してからの採用となります。また、年によって採用予定人数が異なりますので人事院ホームページ等でご確認をお願いします。
海上保安官を目指す方へ
- ●海上保安大学校、海上保安学校、海上保安学校門司分校は、入学金、授業料等は一切不要です。学生生活に必要な制服や寝具等は貸与されます。なお、教科書、食費、身の回り品等は自己負担です。
- ●入学と同時に国家公務員としての身分を与えられるため、海上保安大学校、海上保安学校では、毎月約15万円(令和3年度)の給与や期末手当、勤勉手当(いわゆるボーナス)が、海上保安学校門司分校では、入校までの職務経歴に応じた給与等が支給されます。
- ●国土交通省職員として、国土交通省共済組合員としての社会保障を受けることができます。
未来の海上保安官へのメッセージ
第六管区海上保安本部 呉海上保安部 巡視艇くれかぜ船長 小林 孝至
ただただ海や船が好きで、それらに関わる仕事がしたいとの思いから海上保安学校に入校しました。
卒業後は航海科職員として主にPC型及びCL型巡視艇で警備救難業務に関わり、PC型巡視艇の主任航海士の後、現在はCL型巡視艇の船長として責任者を任されています。
私が乗船しているCL型巡視艇は小型で機動力もあることから、現場へ急行して事案に対応することが多いですが、業務内容によっては潜水士等のスペシャリストの支援に回ることもあります。
大変ではありますが、人のために主役から脇役までさまざまな役割を果たすことができる職場だと思います。
今、これといった才能がなくても、やる気があれば部内研修を受講するなどして、潜水士や通訳官等のスペシャリストとして活躍することもできますし、色々な職種がありますので、あなたの特性を発揮できる場がきっとあると思います。
海上保安官になって、あなたの力を人のために役立ててみませんか。
第七管区海上保安本部 福岡海上保安部 警備救難課長 坂本 伸男
私は海に囲まれた長崎県佐世保市で育ちましたが、恥ずかしながら、叔母から教えられるまで地元に保安部があることも知りませんでした。
そんな私ですが、巡視船や航空機の通信士、本庁での警備や情報管理の担当など、さまざまな業務に携わる機会に恵まれ、2019年度には「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の海上警備というビッグプロジェクトを担当させていただきました。
次から次に出てくる課題に頭を悩ませつつも、頼もしい仲間とともに、これまでの経験を総動員し、内外の人と粘り強く調整を行い、膨大な警備計画を作り上げ…と、とてもハードな毎日でしたが、無事に完遂できたときには自分でも驚くほどの達成感がありました。
海上保安庁にはさまざまな業務があり、ときにはこのような歴史的な仕事に携わることもあります。まだ自分のやりたいことが見つかっていないという人もぜひ当庁を希望してみませんか?自分では想像もできないほど充実した仕事に出会えるかもしれません!
十一管区海上保安本部 那覇海上保安部 巡視船くだか船長 菊地 元
私は一般大学に入学したものの、アルバイトにはまって留年し、遊んでばかりの毎日から抜け出そうと一念発起し、大学を中退して海上保安庁に入りました。子供の頃から海や船に憧れていたのも志望動機の一つです。
海上保安学校を卒業し、いざ現場に出ると、ソ連(現ロシア)の警備艇と対峙したり、悪質密漁の取締りをしたり、そうかと思えば船の整備で錆打ちやペンキ塗りをしたりと、変化に富んで実に面白い! その後は、船艇勤務と陸上勤務を織り交ぜ、全国各地で勤務しています。
東京霞ヶ関の陸上勤務では、海上保安庁の予算要求作業に少しだけ関わることができ、巡視船勤務では尖閣諸島周辺での中国海警局に所属する船舶への対応や、日本海での外国漁船対応も経験しました。海上保安庁の仕事は、つらくて厳しいこともありますが、自分自身も成長できる、大変やりがいのある仕事だと感じています。
さまざまな研修
ほとんどの海上保安官は、大学校・学校を卒業後、巡視船艇に配属されます。その後は、経験を積みながら、自分の適性や希望に応じてさまざまな研修を受けることで、それぞれが目指す道に向けてキャリアアップを図っていきます。
海上保安学校卒業者・門司分校修了生を対象とした将来の幹部候補生を養成する研修です。一定期間現場で仕事をした後、選抜された職員が、初級幹部として必要な素養を身につけます。
特修科
海難事故が発生した場合に、転覆船等に取り残された方の救出や漂流者の救助等にあたる潜水士を養成する研修です。約2か月にわたる研修・訓練では、潜水業務に必要な知識・技術、転覆船を想定した救助活動等を行います。
潜水研修
航空機の整備を行うエキスパートを養成する研修です。海上保安学校在学中に選抜試験に合格した者等が、航空機の機種毎に必要な知識・技能を身につけます。
ケーブル調整
外国人犯罪の捜査を行うためには外国語が不可欠であり、現場の捜査で必要なプロフェッショナルを養成する研修です。研修終了後、国際捜査官等として犯罪捜査等の業務に従事します。
語学研修
海上保安官のライフプラン
海上保安官の給与(諸手当を含む)は、一般職の国家公務員の給与に関する法律等の法令の定めに従い支給されています。以下に海上保安官の月収の例を紹介します。
人材確保の取組み
「いつでも」「どこでも」気軽に参加! オンライン受験説明会の導入!
新型コロナウイルス感染症予防対策のため、海上保安官のリクルート活動において、高校や大学等へ直接訪問をする機会が減少しましたが、海上保安庁ではオンライン受験説明会を導入し、海上保安庁を目指す受験生などが「いつでも」「どこでも」説明会に参加できるようにしました。海上保安庁の仕事内容、受験方法について知ることができるほか、現職の海上保安官にリアルタイムで質問ができますので、是非ご参加ください。
SNSで知られざる海上保安庁の魅力を発信!
普段あまり目にする機会のない海上保安庁の業務や魅力をお伝えするため、採用担当において、Instagram、Twitter等のSNSを活用し、採用情報も含めさまざまな情報を発信しています。Instagramでは美麗な写真を通して海上保安庁の魅力を発信し、Twitterでは、採用試験や仕事内容、豆知識などさまざまな情報を発信していますので、是非ご覧ください。
ライフワークバランス
家庭と仕事の両立支援制度の利用促進
誰もが能力を発揮し活力ある職場を作るためには、男女を問わず育児・介護を行いながら安心して働き続けられる仕組みが必要であり、海上保安庁では、育児休業や介護休暇をはじめとする各種両立支援制度を整え、職員一人ひとりの事情に応じた活用を推進しています。また、職員の負担軽減のための時差出勤やフレックスタイム制の活用促進、テレワークの拡大等柔軟な働き方の実現への取組を続けています。男性職員の育児休業については、令和2年度以降、子供の生まれた全ての男性職員が育児に伴う休暇・休業を1か月以上取得できることを目指し、取得率向上への取組を強化しています。対象職員や管理職層職員に対する各種制度についての説明や研修会の開催、取得好事例や体験記の庁内外への発信により、組織全体の雰囲気醸成に努めています。
育児休業
那覇航空基地 警備救難課 機動救難士 外間 竜太
助けを求めている人へヘリコプターと連携して救助に向かう機動救難士として勤務している中、令和3年7月に双子が生まれる予定であっため、上司には育児休業の取得を考えていることを伝えていました。実際には出産が早まり、5月には無事に双子が生まれたのですが、年度初めは新人機動救難士の育成など業務が多く、私が育児休業を取得すると同僚の負担が大きくなることが予想されるため、妻と相談したうえでしばらくは特別休暇や年次休暇を有効に使用し、出勤しながらもできる限りの育児のサポートに当たっていました。
生まれてから3か月程経ったころ、やはり私が仕事で家庭にいないときの妻の負担はとても大きく、身体的精神的な疲労が限界を迎えそうだと判断した為、上司や同僚の隊員に育児休業を取得したいと相談したところ、「こっちは心配しなくていいから、育児に専念していいよ!!」との力強い後押しの言葉をもらいました。また、育児休業取得にあたり、取得経験のある職員にも相談したところ、「職員の穴埋めについては職場が考えることだから、家族を優先した方がいい」とのアドバイスもいただきました。新人育成のための訓練などで忙しい中、自分だけ育児休業を取得してもいいのかという葛藤がありましたが、皆様からの温かい言葉を受け、2か月間の育児休業を取得することを決めました。
育児休業中の2か月間は、妻のことを第一に考え、今までよりも育児・家事に集中していました。7歳の長女もいますが、長女が小さいときは船の長期行動が多く、あまり育児に参加できなかったことから、「育児ってこんなんだっけ??」と思うことが多く、妻に指導を受けながら全力でサポートに当たるとともに、一人で担っていた妻に改めて感謝の気持ちを抱きました。初めての健診や予防接種、初めての笑顔、初めての寝返り等、色々な初めてを妻と子供たちと共有することができました。この2か月間、妻とともに育児に集中して取り組めたことは私にとって、そして家族にとってかけがえのない財産になることは間違いありません。
この経験を生かして、これからも継続して育児に励むとともに、職場でも同じような状況に置かれた同僚をしっかりサポートしていきたいと思います。育児休業取得にあたり、協力いただいた職場の皆様には本当に感謝しています。
双子を妊娠しているため管理入院をしなければならず、産前、産後のサポートが必ず必要と医師に告げられていたため、それを主人に相談し、主人が職場に相談してくれ、快く理解してくださったことをとても感謝しています。家族のことを一番に考えてくださいと主人は言われたそうで、こんな良い職場に勤めさせていただき感謝しています。
出産後、双子の育児にとても不安がありましたが、主人に2か月間の育児休業を取ってもらい、精神的にも身体的にもすごく助かりました。
育児短時間勤務
第九管区海上保安本部 国際刑事課
日頃から子供二人の育児と仕事に没頭している妻に少しでも安らぐ時間を見つけて欲しかったため、第三子の出産を契機に1か月間の育児短時間勤務を取得することとしました。育児短時間勤務中、朝夕の家事、上の子2人の保育園送迎を行っていましたが、たった少しの時間でも、妻からは「助かった」と伝えられ、何より子供3人と向き合う機会も多くすることができ、取得して本当によかったなと思います。育児短時間勤務を取得して家事の一部を協力することで、改めて妻をリスペクトするとともに、併せて、子供への愛情も更に深くなりました。
在宅テレワーク
本庁 総務部人事課 企画係 藤本 真也
令和2年1月、日本で最初の新型コロナウイルス感染が確認されてから早3年目。
海上保安庁でもテレワークが日常となってきました。
テレワークは新型コロナウイルス感染予防の観点から「出勤回避」のツールとしても非常に大きな役割を果たして来ましたが、今後は育児や介護に携わる職員も含め、全ての職員にとって重要なツールとなっていくでしょう。
テレワークの大きなメリットとして通勤に時間を取られないことが挙げられます。例えば片道1時間半かけて通勤している方であれば、1日当たり3時間分の通勤時間が浮くことになります。その浮いた3時間を趣味や育児の時間等に使うこともできますので、ご家族との家族時間や、介護中の方にとっても貴重な時間になると思います。
私は令和3年4月から初めての陸上部署、本庁人事課で勤務することとなり、今まで巡視船での勤務しか経験がありませんでしたので、テレワークというものが無縁でした。
本庁人事課は働き方改革の最前線の部署ですので、当然ながらテレワークの実施率も非常に高く、私も着任早々テレワークを実施することとなりました。
始めは上司や同僚が傍に居ない環境で仕事ができるのか、コミュニケーション不足で業務に支障が出ないかなど、不安に思う部分もありました。
いざやってみると、日頃から積極的に課内や係内でコミュニケーションを取るようにしていることもあり、業務の進め方に不安があるときでも電話やメールで気軽に相談できますので、自分一人しか居ない環境でも不安なく集中して業務に取り組むことができました。また、従来は対面で行っていた決裁作業や上司への説明についても、電話やメールで済むような取り組みや意識改革が進んでいることもあり、わざわざ説明をするために出勤をするという考えも薄れつつあります。また、私は韓国語と登山が趣味なので、テレワークで浮いた時間は韓国語の勉強、登山の計画や登山道具の整備等自分の趣味に充てています。
上司の声
那覇航空基地 警備救難課 上席機動救難士 鈴木 健吾
出産の約3か月前頃に、外間救難士より育児休業の取得を考えている旨の申告がありました。その時期にはすでに双子の妊娠が分かっていたこと、7歳になる女の子がいることから、双子出産後の奥様の負担はさぞ大きいものだろうと思いました。
今年度は外間救難士以外にも3名が出産を迎えた、もしくは控えている状況でした。機動救難士の中堅であり、業務への責任感が人一倍強い外間救難士は周囲の出産状況や業務執行体制の維持等を考慮して、しばらくは年次休暇や特別休暇等を使用し、育児の合間を縫って出勤してもらっておりましたが、やはり奥様の負担が多大であるとのことから、再度2か月間ほど育児休業を取得したいとの相談があり、快諾いたしました。
育児休業取得にあたり、業務執行体制維持の調整が必要になりましたが、周囲も育児休業に対して非常に理解があり、協力してくれたおかげで円滑に調整できました。周囲の機動救難士の温かい心遣いに感謝しております。改めて、育児休業の取得は周囲の理解のある環境が大切であることを感じました。
機動救難業務は海難現場の最前線で活動し、危険と隣合わせの業務であり、家族の心身の健康があってこそ邁進できる業務だと思います。今後も取得希望する職員がいれば、積極的に育児休業等のライフワークバランスを推進していきたいと考えております。
輝く! 女性海上保安官
女性活躍近況
海上保安庁では、昭和54年から海上保安学校において女子学生の採用を開始し、令和3年4月1日現在、1,164人が在籍しており、全職員の8.1%となっています。管区海上保安本部の部長や課長、海上保安部の課長、巡視艇船長や機関長、パイロット、海上交通センター運用管制官等、さまざまな業務を遂行しています。
また、現場での安全指導や巡視船艇勤務など、女性職員数の増加に比例して、現場第一線で活躍する女性海上保安官も増加しています。
安全指導を行う女性海上保安官
巡視船で運航業務に携わる女性海上保安官
海上保安学校管制課程の新設から今年で5年目! 管制課程1期生へのインタビュー
名古屋港海上交通センター 運用管制課運用管制官付 田中 萌愛
●海上保安庁の中でなぜ管制課程を選んだのか
進路選択の時期に、海上保安学校の学生募集ポスターで海の管制官の存在を知りました。適時適切な情報提供により海難事故を未然に防ぐことができるという業務内容に非常に魅力、憧れを感じ、私も運用管制業務に携わりたい! と思い入庁を決意しました。
●卒業後、管制官になるまでの道のり
業務に必要な法律、規則は海上保安学校で2年間しっかり学び、卒業後は現場経験豊富な先輩に教えていただきながら、運用管制官の資格認定のための訓練などでは実戦形式で経験を積んでいきました。
●今日まで仕事において携わった大きな出来事
運用管制官の資格認定を受け半年ほど経った頃、外国船と日本船に著しい接近、衝突のおそれがあったので、すぐに情報提供を行いました。
危険な状況を回避した後、外国船から“Thank you for your good assistance!”と言われたときはとても嬉しく、船舶から直接お礼を言ってもらえるこの仕事にやりがいを感じるようになりました。
●管制官を女性におすすめしたい理由
運用管制官は4直2交替勤務で、残業もなく数ヵ月先でも予定を組みやすい勤務形態です。また、陸上勤務のため体力に自信がなくても問題ありませんので、男性職員が多く、体力勝負なイメージがある海上保安庁の業務の中でも、女性が続けやすい仕事だと思います。
女性活躍推進への取り組み
海上保安庁は全ての陸上部署に女性専用のトイレ、仮眠室が完備されています。
平成30年4月から導入し、今日まで多くの妊娠中の女性職員に着用していただいていたマタニティ服ですが、マタニティ服を着用した女性職員の意見を参考に、新しいタイプのマタニティ服の運用が開始されました!
マタニティ服
1人でも多くの女性職員に愛用してもらい、出産・育児が落ち着いたらまた職場復帰してもらえる祈りを込めて、今後もより良いものを追求していきます。
職員を対象としたライフワークバランス推進、働き方改革やハラスメントの防止に係る研修を実施しています。また、教育機関を卒業する学生を対象とした男女共同参画に関する研修も行っています。
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